株主総会?
マルコ・アントニオ・マルティネス神父
2年前のことです。今はアメリカのシカゴで働いているコロンバン会のティム神父(ティモティ・ムロイ神父)さまが、千葉寺教会を訪ねてくださいました。ティム神父さまは、若い時この小教区で、一生懸命活動されたと聞いていました。ティム神父さまがおいでになったのは日曜日の朝でミサが始まる前でした。いまだ日本語は達者でお忘れでなかったので、ミサの司式をして下さるように頼みました。神父さまは喜んで賛成してくれました。
その日のミサは、たまたま、ティム神父さまと親しくしていた信徒の子供の初聖体の日でした。だからティム神父さまも、信徒のみんなも、初聖体の子供もその家族も大喜びでした。そしてミサが終り聖堂の入口で信徒たちに帰りの挨拶をしているとき、一人の信徒が「マルコ神父さま、今日は神父さまの株が上がりましたね」と声を掛けてきました。「どうしてですか」と訊くと、「だって、今日はコロンバン会の神父さまをこんなに歓迎してくださったのだもの」という答えでした。
わたしは訪ねて来てくださるどの神父さまも、同じ気持でお迎えしています。特にこの千葉寺教会の恩人であるコロンバン会の神父さまたちに対しては、特別な気持で歓迎します。ティム神父さまにしたことは、ただイエスさまのことばに従っただけです。「だから、何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ(マタイによる福音書(口語訳) 7:12)」
この株の話はもちろん比喩ですし、冗談として受けとりました。でも注意しましょう、教会はこの世に生活する生の人間の集まりです。すぐに主イエスのことばを忘れて、教会がこの世のものを守る為に存在しているかのように考えてしまうことがあります。「あなたがたは自分のために、虫が食い、さびがつき、また、盗人らが押し入って盗み出すような地上に、宝をたくわえてはならない。むしろ自分のため、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない天に、宝をたくわえなさい。あなたの宝のある所には、心もあるからである。(マタイによる福音書(口語訳) 6:19-21)
例年のとおり、今月はこの小教区の信徒総会が開催されます。主イエス・キリストの言葉をもとに、教会の総会はどんなものでなければならないかを考えましょう。
総会は聖職者と信徒のこの一年間の反省会でなければなりません。この一年間、福音の言葉と教皇さま、司教さまの指示に従って、いただいた信仰の証しを考えなければならないのです。
総会の議題で一番大事なことは、信仰の証しです。一年間、どんなことをして、どんなものを使って、どんな力と喜びで証しをしましたか? 教会の総会は、この世のものを一番先に大事にする会社の株主総会とは違います。主イエス・キリストの命じられたことを、みんなで一緒に考えるのが総会なのです。
「あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。(マタイによる福音書(口語訳) 5:16)」
「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。(マタイによる福音書(口語訳) 6:33)」
今年の元日、昨年と同じくミサの前にご聖体を顕示して、一時間、みんなでお祈りをしました。そのとき祭壇の上に二つの大きなろうそくがありました。一つには「感謝」、もう一つには「希望」ということばがありました。その感謝と希望のともしびの中に、今年の総会を開きたいと思います。 神に感謝。 |
「シャローム」2011年02月号掲載